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月桂樹の葉gift

寄贈して頂いたマージナルプリンス作品を展示しています。
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Secret

■作者:シハル姉さん
■シルフェ×レオシュ
Lehrer 続編

アルフォンソ学院保健室。今日もこの場所は生徒たちで賑わっていた。
「いつでも来いとは言ったけど、ここは一応保健室なんだぞ。」
「わかってるって。けど、今は誰も寝てないんだろ?ならいいじゃん!」
「そういう問題じゃねーの。トランプなら寮でやれって言ってんだよ。」
生徒が数人で来て何事かと思えばトランプで遊び始めたのだ。
「まあまあ。何でもいいからとにかくシルフェに会いたかったんだよ、こいつは。」
「そうそう。けど、宿題も出てないし会いに来るのに理由が欲しかったんだよ。な?」
「んなこと言ってないだろ!俺は、シルフェが一人で寂しいだろうと思って遊びに来てやったんだよ。」
「はいはい。じゃ、そういうことにしといてやるよ。」
生徒と交流が持てるのは嬉しいことではあるけど、保健室でトランプはさすがにちょっと困る。
「あのな、俺に会いたいのなら無理して用事なんて作らなくていいから。」
「・・・いいの?」
「ああ。会いに来てくれたら茶くらい出すし、寝てるやつがいなければ話ぐらい付き合ってやる。」
こいつは以前俺に想いを寄せてくれていた。けど俺はそれを断わった。
それなのに変わらず来てくれるのだから少しくらい甘やかしてやるのもいいだろう。
「そっか。なら、今度は何も持たずに来るよ。そんときはちゃんと話聞けよ?」
「わかった。」
「よし。じゃあ今日はもう寮に戻る。」
一緒に来ていた生徒も引き連れ去っていった。
生徒たちが帰ると思わずため息を吐いてしまう。
疲れたわけじゃないけど、やっぱり少ししんどいと思うことがある。
こんなときはレオシュに会いに行くのが一番だ。
そう思って立ち上がったと同時にノック音。
「・・・どうぞー。」
ドアを開けて入ってきたのは俺が今最も会いたい人だった。
「レオシュ!?どうしたの?今って授業中なんじゃ・・・。」
「変更になったんだ。日本からシュンという名のピアニストが来て、急遽演奏会を開くことになった。」
「それで、時間が空いたから俺に会いに来てくれたの?」
「・・・そうだ。」
「!?」
珍しく素直に肯定してくれた。明日は雨だろうか。いや、何が降ろうと構わない。
素直で可愛いレオシュが見られたんだ。それだけで俺は世界で一番の幸せ者だろう。
うっすらと頬を染めている愛しい人を見て俺は抱きしめずにはいられなかった。
「ッ!!シルフェ!」
「いてっ」
殴られた。軽くだからそんなに痛くはなかったけど。
「いつ生徒が入ってくるかわからないんだ。軽々しくそういうことをするな!」
「軽々しくって、俺これでも我慢してるんだよ?本当は今すぐ押し倒したいけど抱きしめるだけに留めておいたんだよ。」
言うと、レオシュが頬が更に赤く染まった。
「そんなに可愛い表情を見せられたら抱きしめるだけじゃ済まなくなるよ?」
「い、今はダメだ。」
「りょーかい。じゃ、夜まで待つよ。」
黙り込むレオシュ。見つめる俺。
そして耐えられなくなったのかレオシュは俺の腕から逃れようとした。
「ダーメ。もうちょっとこのまま。エネルギー補給しておかないと俺もう動けない。」
「・・・1分だけだからな。」
「はいはい。」
レオシュの返答に思わず顔がニヤける。
昔は抱きしめたりなんかしたらすぐに怒って逃げ出してたのに、今ではこうして大人しく抱きしめられていてくれる。
「あー、やっぱ離したくないな。」
「学院内ではもう少し自重しろ。」
「ん、考えとく。」
時間は無常にも過ぎていき、約束の1分が経ってしまった。
「仕方ない。夜に会えるのを楽しみに頑張るよ。」
腕を解いてレオシュにしばしの別れを告げる。
「さてと、俺もマジメに仕事しますか。」
一部の生徒たちのカルテを見つめる。
これはソクーロフ博士から受け継いだもので、シュヌーシア寮高等部2年の生徒。
中等部の頃からカウンセリングを受けていたらしい。
とは言っても俺は博士のような技術は持ってない。だから博士の残してくれたカルテを見ながら生徒の話を聞く程度だ。
ま、最初から俺は俺のやり方でいくつもりだったし生徒との距離が近ければその分聞ける話も多いはずだ。
実際、シュヌーシアのよく体調を崩すような生徒は俺を兄のように慕ってくれている。
そのおかげでほとんど毎日のように通ってくるやつも増えてきた。
ただひとつ問題があるとすればレオシュに会う時間が減るということ。
さっきみたいに会いに来てくれるなんて滅多にないというのに、生徒のカウンセリング中だったりすれば遠慮してどこかへ行ってしまう。
たまには二人きりで時間を持て余すくらいにイチャイチャしていたいと思う。
「おっと、そろそろ時間だ。」
チャイムの音が鳴り響き、講義の終了時刻を知らせていた。
今日の患者はシエル・アクア・ルオーという生徒。
生まれつき病弱だったため、心配した両親が最新医療が揃っていて尚且つ空気の綺麗なこのアルフォンソ学院に体質改善のため入れたらしい。
両親に愛され、幸せに育ってきたこいつが残り一年でどんな奇蹟を体験するのか。
それを見守ることこそが今の俺の仕事だと思っている。
コンコンとドアをノックする音が聞こえ、開いていることを伝えるとシエルが入ってきた。
「こんにちは、シルフェ。」
「おう。その後調子どうだ?」
「シルフェに言われた通りにしたらなんかすっごく調子が良くなったよ!」
「そりゃ良かった。」
こいつには荒療治とも思えるがウーティスの連中に交じって思い切り身体を動かしてみろ、と言った。
中等部から学院に入学して恐らく大分体質改善はされたであろうと思った俺は身体を動かすことで体力もつき、祖国へ戻っても安心できる肉体に仕立て上げることにした。
「俺、シルフェに会えて良かった。ソクーロフ先生もすっごくお世話になったし、すごい人だってわかってるけどさ。
でもシルフェに出会ってなかったら身体を動かすことがこんなに気持ちいいって知らなかったよ。」
「最高の医者だろ?」
「もう、本当に最高だよ!俺、ウーティスにも友達できたんだよ。今まで寮にいることが多かったからあんまり他の寮の生徒と関わることがなかったんだけど、シルフェのおかげで友達がたくさんできたんだ。」
「そっか。じゃあ、お前はもう体験したか?『共にある奇跡』ってやつを。」
「うん。シルフェに出会えたことが最高の奇跡だとは思うけど、今までたくさんの奇跡を体験したよ。」
「じゃあ、あとは卒業までにただ一人の人に出会えればお前も立派なマージナルプリンスになるな。」
「ただ一人の人?」
「そう。友達でも恋人でもいい。心から大切にしたいと思う相手を見つけるんだ。」
「なるほど。わかった!もし見つかったら一番にシルフェに報告するね!」
「いい報告、待ってるぜ。」
「シルフェって本当に先生って感じしないよね。なんか、何でも話せる兄さんみたいな感じ。」
「いいじゃん。先生ってガラでもねーし、本当の兄貴だと思って何でも話せよ。」
「シルフェには最初から何でも話してるよ。あ、でももし嫌じゃなかったら兄さんって呼んでもいい?」
「おー。いいぞ。んで、カウンセリングはこれで終わりだけど、またいつでも来いよ?」
「うん!ありがとう!シルフェ兄さん。」
嬉しそうにして保健室を出て行くシエル。
そういえば、セシルは元気にしているだろうか。父さんや母さんにも随分連絡を取っていない。
「ちゃんと連絡すべきだよな。やっぱ。」
携帯電話なんてハイテクなものは持っていない俺は通信室へ向かう。
父さんの家の番号を書いたメモを見ながら受話器を取り、ボタンを押す。
数回コール音が鳴った後繋がった。
『はい。ダブラティンです。』
「もしもし、父さん?久しぶり。」
『シルフェか?久しぶりだな。元気でやっているのか。』
「うん。俺もレオシュも元気だよ。レオシュはもう立派な先生だし、俺も保険医として生徒たちから慕われてる。」
『そうか。良かったな。だが、たまには家に帰ってきなさい。セシルも母さんもお前達に会いたがっている。』
「そうだね。会いたくなってきちゃった。でもさっきも言ったように生徒達から頼りにされてるんだ、俺。だからさ、父さん達が会いに来てよ。空港まで迎えに行くし。」
『簡単に言ってくれるな。アルフォンソ島まで行くのにどれだけ時間がかかると思っているんだ。』
苦笑しながら責めるような口調で言う父さん。けど怒ってるわけじゃないっていうのが伝わってくる。
「旅行だとでも思ってさ。来てよ。俺達待ってるから。」
『そうだな。母さんとセシルが行きたいと言ったら考えてみよう。』
「うん。そういえば、母さんとセシルは?」
『今二人で買い物に行っているが、何か用か?』
「そういうわけじゃないんだけど、元気してるかなって。」
『気になるのなら、もう少し頻繁に連絡してきなさい。』
「そうだね、ごめん。あ、そろそろ戻らなきゃ。また電話するね。」
『ああ。』
受話器を置いて電話を切る。
父さん達、来てくれるかな。早く見せたいな。俺達の過ごした・・・俺とレオシュが出会ったこの場所を。
この学院で過ごした日々を振り返りながら紹介しよう。俺の大切な家族に。


END



■管理人からのお礼
当サイト開設4周年記念に、私の大好きな『先生編シルフェ×レオシュ』を頂いちゃいました! 嬉し過ぎる!
しかも前作『Lehrer』の続編に当たるお話で、
その時、シルフェ先生にキスされた生徒も登場しています! その後も良好な関係が築けているようで安心しました。
「シルフェが一人で寂しいだろうと思って遊びに来てやった」という意地らしくて良いです!

>生徒たちが帰ると思わずため息を吐いてしまう。
この一文を見て、こんなに生徒に対してフレンドリーなシルフェ先生でも、
お仕事のあとは思わずため息を吐いてしまう、というところに、
親近感と言いますか(笑)人間らしさを感じました。
生徒のことは嫌いではないし、付き合い難いわけではないけれど、
友人、家族ではなく『お客』『クライアント』であるというか。
きっとアイヴィーも同じなんだろうなと思いました。

>シュンという名のピアニスト
まさかのピアニスト登場! しかもグッドタイミング! シュン先生もお元気そうで何よりです。
演奏会で生徒も先生も集まっている中、保健室で二人きりというシチュエーションがまた!!!
「いつ生徒が入ってくるかわからないんだ」という台詞と合わせまして、
本当に保健室って良い場所だなあと改めて思いました(笑)

そして今回、初登場となった素敵な名前の生徒が居ます。シエル・アクア・ルオー君!
>こいつには荒療治とも思えるがウーティスの連中に交じって思い切り身体を動かしてみろ
ソクーロフ博士にはできなかったアドバイスかもしれませんね、これは。
博士には博士の、シルフェ先生にはシルフェ先生のやり方があって、
シエル君にはシルフェ先生のアドバイスがバッチリ効いて良かったです!

先生になったシルフェ君のレオシュのシークレットなお話、どうもありがとうございました!
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