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月桂樹の葉gift

寄贈して頂いたマージナルプリンス作品を展示しています。
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■作者:シハル姉さん
■シルフェ×レオシュ
Lehrer 続編


今日は父さん達が学院へ来る日。
このまえ電話があって母さんとセシルも学院を見てみたいとのことで皆で来ることになった。
空港へは俺が直接向かうことにした。

「アイヴィー、車貸してくんない?仕事用でも私用でもいいんだけど・・・。」
通信室でよく知るタクシードライバーに電話をかける。
『車って・・・何に使う気だよ?そもそもお前さん、運転できるのか?』
「運転はできるよ。卒業してすぐ免許取ったし。
 今日、俺の父さん達が来るのは知ってるだろ?」
警備責任者であるアイヴィーには生徒代表から連絡がいっているはずだ。
『それは知ってるけど・・・まさか自分で運転して迎えに行くつもりか?』
「うん。」
『あのなあ、そういうときはタクシー使えよ。自分で運転してたらゆっくり話しもできないだろ?』
「そういや学院案内が目的だったから車ん中で話するとか考えてなかったな。」
『親御さん、久しぶりに会うんだろ?車ん中でくらいゆっくり話せよ。』
「ってことはアイヴィーが俺を乗っけて空港まで行ってくれるってこと?」
『当たり前だろ?お前さんとは長い付き合いだ。それくらいしてやるよ。』
「さっすがアイヴィー!愛してるぜ!」
『はいはい。』
「じゃ、校門のところで待ってるから。」
『おー。』
電話を切って仕度をしてから校門へと向かう。

校門には既にアイヴィーが来ていた。
「よっ!」
「来てくれてサンキュな。」
「いいから乗れよ。」
促されて俺は助手席に乗り込む。
「シルフェの家族ってどんなだ?」
「どんなって言われると困るけど、父さんはちょっと厳つい顔してて、母さんはおっとりした感じの人だよ。
あと、妹がすっげー可愛いの。」
「へー。意外と幸せ家族で育ったんだな。」
「意外か?」
「まあ、意外っつーか・・・この学院には珍しいっつー感じか。」
「そう珍しくもないと思うぞ?俺、両親と血繋がってないから。妹もだけど。」
「あ・・・なるほど。」
納得したらしい。
「そろそろ着くぞ。」
「へーい。」
シートベルトを外して降りる準備をする。

空港に着いて俺は父さん達の姿を探す。
「シルフェ!!」
呼ばれて振り向けばセシルと父さん達の姿。
「セシル!久しぶりだな。ちょっと会わないうちに綺麗になったな。」
「そ、そうかな。へへ、ありがと。」
「父さん母さんも久しぶり。」
「本当に久しぶり。少し見ない間になんだか逞しくなったみたいね、シルフェ。」
「お前の成長した姿をこの目で見られて嬉しいよ。」
「父さん・・・ありがと。じゃあそろそろ行こうか。」
3人を連れてタクシーに戻る。
「えっと、紹介するね。こちらアイヴィー。学院専属のタクシードライバーで俺がいつもお世話になってる人。
 アイヴィー、こちらが俺の父さん、母さん、妹のセシル。」
「初めまして、アイヴィーです。」
お互いに挨拶をしてから車に乗り込む。
後ろに4人はさすがにキツイので俺は再び助手席へ。他の3人は後部座席へ乗った。
「これからシルフェの育った学院に行くんだよね。私すごく楽しみなの。」
「俺もセシルにずっと見せたかったんだ。すごく良いところだよ。」
「どんなところなの?」
「学校自体はちょっとしたお城みたいな感じで、森の木陰が気持ちよくて、あと寮が特徴的。」
「特徴的?」
「そう。3つあって、ウーティス、アルファルド、シュヌーシア。俺がいたのはシュヌーシアで、『共にある奇跡』って意味があるんだ。」
「共にある奇跡・・・。それがレオシュさんとの出会いだったってこと?」
「そう。まあ、詳しくは学院についてから案内しながら話すよ。」
「そういえばレオシュくんの姿が見えないけど、一緒じゃなかったのね。」
母さんが尋ねてきた。
「レオシュには学院で待っててもらってる。学院までそんなに距離ないし。」
「あらそうなの?」
「うん。そろそろ着くよ。ほら、見えてきたでしょ?あの門のところで降りるから準備しといて。」
言われて降りる準備を始める母さんとセシル。

門の前に到着し、車から降りる。
「サンキュ、アイヴィー。」
「ありがとうございました。」
アイヴィーと別れて門をくぐる。
「目の前に見えてるのが校舎ね。んで、俺のオススメは校舎の裏手にある森。ナイチンゲールの歌声とあの木陰のおかげで気持ちよく眠れるんだ。
それから森の奥にあるのが寮。生徒達用の3つの寮の他に教師用の寮もある。俺とレオシュは教師用の寮に住んでる。
まあ、いつか二人だけの家を近くに建てたいとは思うんだけどとりあえずはね。」
教師用の寮があるということに驚くセシルと未だ教師用の寮に住んでいることに驚く母さん、そして父さんは無言で校舎の造りに感動していた。
反応は三者三様。とりあえず校舎の中へ案内することにした。

中へ入り、まず保健室に案内する。
「ここが保健室。俺の場所ね。今は留守中の札かけてあるから誰もいないけど普段は生徒で賑わってる。」
「賑わってるの?保健室が?」
不思議そうに訊ねるセシル。
「俺人気者だからねー。生徒が俺を慕って来るんだよ。休み時間や放課後なんて特に煩いくらいだぞ。」
「保健室なのに?」
「いや、もちろん病人やけが人がいた場合は別だよ。そのときはきちんと治療したりしてるって。」
「シルフェももう立派なお医者様なのね。」
イマイチ納得がいかない様子のセシルと俺の成長を喜ぶ母さん。
「シルフェー!!」
扉を開けて入ってきたのはウーティスの生徒だった。
「さっき転んじゃって・・・ってお客様?ごめん、俺出直してくるよ。」
「大丈夫大丈夫。で、どうした?怪我したのか?」
「あ、うん。膝擦り剥いちゃってさ。」
見たところ大した怪我ではないようだ。
「んじゃ、ちょっと消毒するからしみるけど我慢しろよ?」
「うん。」
消毒液を滲みこませたガーゼを傷口に当て絆創膏を貼る。
「よしっ!これでOK。」
「サンキュー!」
ひらひらと手を振って保健室を出て行く生徒を見送る。
するとふと頭に手を置かれた。不思議に思って見上げれば父さんが微笑っていた。
「立派になったな。」
「ありがと、父さん。さて、それじゃ他の場所へ行こうか。」

次にレオシュと合流予定の食堂へ向かった。
「レオシュー!」
呼ぶと振り返って柔らかな微笑みを見せ、父さんと母さんに挨拶をした。
「お久しぶりです。」
「元気にしていたか?」
「はい。おかげさまで。」
「レオシュくんもシルフェと一緒にもっと頻繁に帰ってきてくれないと私寂しいわ。」
「すみません。」
母さんには苦笑で返すレオシュ。
「俺もレオシュも生徒に慕われてるからなかなか長期の休みって取れないんだよね。」
「慕われているのはお前だけだろう。」
「何言ってんのさ。気付いてないと思うけどレオシュって実は結構人気あるんだよ。」
まあ、勢い余ってレオシュに告白でもしたりしないよう俺が牽制かけてるんだけど。
「レオシュさん綺麗だもんね。確かに人気ありそう。」
「セシルまでそんなことを・・・。」
「レオシュは自覚が無さ過ぎなんだよ。自分がどれだけ魅力的なのか、もう少し理解したほうがいいよ。」
「みっ・・・も、もういいだろうこの話は。」
「わかったよ。」
父さん達に食堂について軽く説明してから皆で食事をした。

「次に案内したいのがここ、音楽室。」
質の良い楽器が揃えられているこの音楽室なら見るだけでも喜ぶだろうと思い連れてきた。
そして母さんは傍にあったピアノを見て呟いた。
「このピアノ、すごく愛されているのね。」
「愛されてる?」
「ええ。とっても大切に弾いてもらっているみたい。」
「見ただけでそこまで解るの?」
「ピアノだって人と一緒。大切にされていればとても輝いて見えるもの。」
「まるでレオシュさんみたいね!」
母さんの話を黙って聞いていたセシルが突然そう言った。
「は!?」
「レオシュさんはシルフェにとっても大切にされているからきっとこんなに輝いて見えるのよ。」
「い、いやそれとこれとは話が違うと・・・。」
俺に助けを求めるようにこちらを見るレオシュ。
レオシュはセシルの純粋な瞳で見つめられると弱いようだ。
相手がセシルでも俺は心が狭いから妬いてしまう。
「違わなくないだろ?レオシュのことは俺が大事にしてるからね~。昼も夜も。」
最後は耳元で囁くように言った。
「!!」
「やっぱり二人はすごいね。あ、そうだ!私二人が出会った場所に行ってみたい!」
「オッケー。んじゃ、行きますか。」
赤くなって何も言えずにいるレオシュも俺の後ろを黙ってついてきてくれた。

普段、神秘学の講義をしている教室。
ここが俺達の始まりの場所。
「この教室で俺とレオシュは出会ったんだ。レオシュはこの頃髪が長かった所為もあって『女王』なんて呼ばれたたりもしたんだ。」
長い黒髪、紅い指輪の女王陛下。気高く美しい女王陛下の寂しそうな横顔に俺は惹かれたんだ。
「女王?すごい!ぴったりね!」
無邪気にはしゃぐセシルと『女王』時代のことを話されて少し機嫌を損ねるレオシュ。
「セシルもそう思うか?でもな、俺にとってレオシュは『女王』なんかじゃなかった。
過去を思い出にできずにいた、ただの男だったよ。」
大切な人を失って、その悲しみに溺れて抜け出せずに居た哀れな男。
だけどそんな彼を見てどうにかしたいと思ってしまった。
この世界は悲しみだけに染まってはいないということを教えたかった。
「俺はレオシュが例え女王と呼ばれていなかったとしても好きになったよ。レオシュがレオシュである限り、俺の愛は変わらない。」
今、隣にいるレオシュを見つめる。
「レオシュ、大好きだよ。」
「っ・・・俺は言わ、ないからな!」
「はいはい。」
ここで素直に返してくれるとは思ってなかったし、ベッドの中で聞くつもりだからいいけどね。
「シルフェ。」
「何?父さん。」
「案内はここまででいい。私達は先ほどの森を探索してくるから。」
「その後は?」
「近くのホテルに一泊して帰る。私達も、そう長居はできないんだ。」
「そっか、残念。また遊びに来てよ。待ってるからさ。」
「今度はお前達が帰ってきなさい。」
「そうだね。うん。帰るときは連絡するから。」
「ああ。」
そのまま父さんは母さんとセシルを連れて森の方へ歩いていった。
「レオシュ。」
こちらを向いたレオシュに不意打ちのキス。
「愛してる。」
俺達の物語の始まりの場所で愛を囁き、キスをする。
大人になった俺達の新しい物語がきっと、始まる。


END



■管理人からのお礼
シルフェ君のご家族が聖アルフォンソ島にやってくる今回のお話。
とても綺麗にまとまっていて、まるでシルフェ×レオシュ物語の最終話のような作品でした。
もっと言うと、最終話のエンディングテーマが流れた後のエピローグ的な部分。
『始まる』という言葉で終わっているところも、
物語の終わりを示唆しているようで、なんだか勝手に悲しくなってしまいました(笑)

>「さっすがアイヴィー!愛してるぜ!」
アイヴィーに対して軽々しく「愛してるぜ!」と言ってしまうんですね(笑)
レオシュが知ったら良い顔はしないでしょうな(笑)

>「俺、両親と血繋がってないから。妹もだけど。」
シルフェ君の声が聞こえるような台詞でした。ここは随分さらりと言ったんだろうなあと思いました。
さらりと言えたのは、家族と血の繋がりがないことが最早気にならないくらいの幸せ家族である、
ということなんだろうなと解釈しました。

>「さっき転んじゃって・・・ってお客様?ごめん、俺出直してくるよ。」
良い子ですねー、この子は。このウーティスの子が良い子過ぎて、ちょっと感動してしまいました。
思わず「いやいやいや、怪我人が優先で良いんだよ! 保健室なんだから!」と言いたくなります(笑)
保健室の先生として怪我した生徒の面倒を看るという場面を、丁度ご家族に見て貰えて、
職場見学というか授業参観になって良かったなあと思いました。グッジョブ、ウーティスの子!

>「レオシュ、大好きだよ。」
ご家族の前にも関わらず、言ってしまうところがシルフェ君ですね~。
>「まるでレオシュさんみたいね!」
こちらのセシルちゃんの台詞ですが、勢いの良さがシルフェ君に似てます!
流石は兄妹! セシルちゃんもレオシュのことが気に入っているご様子。
ダフラティン兄妹にダブルで押されて、レオシュの今後は更にタイヘンそうですね!(笑)

そして、本作で個人的に一番好きな部分はコチラでした。

>相手がセシルでも俺は心が狭いから妬いてしまう。

それでこそシルフェ君! 大好きだ!!
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